『伊那の古城』篠田徳登より 昭和39〜44年執筆
三日町のほぼ中央に農協がある。その農協の前にある、東の斜面を登る坂を二位殿坂という。土地の人は ”にどん坂” といっている。坂を登った所が、上棚である。上棚部落は眺望のきく所にあるけれど、遠くから見ると欅や他の木々にかくされてあまりよく見えないが、部落に入ってみると、せまいながら古い部落の形を残している。昔、井上某がこの地に隠遁してわび住いをしていたそうだ。その人を二位殿といったかどうか分からないが、とにかく位をもった人の住まった所があったにちがいない。[p53]