第十一・小平辰之介 浜松へ初陣


『小平物語』小平向右門尉正清 入道常慶  貞享3年 [1686]

「小平物語」 ※読みやすい様に管理人が箇条書き・()などを加えています。


第十一・小平辰之介 遠州浜松 初陣の事


元亀二年 辛未 正月中旬 [1571年1月中旬] に遠州(遠江=静岡県の大井川以西)高天神 浜松表(おもて=前面)へ御出馬につき、拾六歳以上へ、面々、その用意つかまつり、御共の触(ふれ)なり。


辰之介、拾六歳にて初陣なり。叔父 両角惣兵衛 同備に仰せ付けられ、この時 山県三郎兵衛の同心(配下にある武士・役人)になられるなり。


以上三騎(小平道三・辰之介・両角惣兵衛の三騎か?)は浜松衆と強き一戦あり。浜松衆こらえず敗軍なり。父 円帰曰く、この節、叔父惣兵衛、鑓に敵に突きつけておき、新挫す 辰之介首を取れといえば両角鑓を以て突臥大音 汝日来鼻をたらす時とハ違たり 刀を抜て仕れ と有ことにて初陣拾六才にて鑓下の高名仕り 夫よりさつと引上け信州伊奈郡エ御馬入にて 高遠へ入給ふなり 即於高遠城信玄公御前へ被召出 高名の御感状百貫の御朱印を頂戴仕り 道三惣兵衛を始一門悦事限りなし 


 同末 [元亀二年・1571年] の三月下旬に三河え御出馬なり 三河ノ内 野田の砦を 諏方・伊那衆・山縣か組にて御先を仕り攻落す也時も 三河衆と強き働仕るとなん 夫より甲州え御馬入也 信玄公御出馬にて御陣押(行軍)の時は何程閑か(のどか)成も大風吹也 是を名付て信玄風と唱るなりと云云




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