白馬に乗った老人(平安)1182-1183

白馬に乗った老人 所在地:辰野町

『伊那の古城』篠田徳登より  昭和39〜44年執筆


 人柱の平出大橋は辰野と平出との境にある橋だ。寿永 [1182-1183] 年間、源氏が平家に叛旗をひるがえし、旗上げの噂が全国にひろがると、源氏の使者を、白馬に乗った老人がこの橋あたりまで迎えに来た。あなたは誰かときくと、白髪の老人の云うには、私は、諏訪の明神だが、源氏の旗上げをきいて、わざわざむかえに来たのだと。よろこび勇んだ源氏の使者たちは、足音もそぞろにこの大橋をわたって諏訪に入ったのだという。東鑑にある辰野は、竜野とかいてある。この話は一番強い実力者には常に味方になるという例話だが、そのころ、大橋があったか、渡し船であったか明らかでないが、云いつたえによると橋があったことになっている。[p14/15]


関連:平出大橋の人柱