沢底の日向の館址 所在地:辰野町
『伊那の古城』篠田徳登より 昭和39〜44年執筆
沢底に樋口氏子孫が安住
沢底の日向は南面した丘にあって、住居地としてその名の如く、日むきがよく、水の便利な安住出来る谷間の静かな村である。ここから丘山を北に超えると割合簡単に諏訪に出られる。この沢は出水など利用した古田が段々とならんでいるが、この古田のうちで、ここだけは絶対に、イモチの発生しない所がある。西日のせいかな、風のせいかな、と村人は不思議がっていた。
猛将樋口兼光の子孫たちも、やっと安住の地に落ちついたというものか、館址らしい所が残っている。西南に流れていく沢底川は、せまいながらも、おだやかでそして土地も肥えている。 [p18]