川鳥城

川鳥城 所在地:辰野町小野

『伊那の古城』篠田徳登より  昭和39〜44年執筆

 西の高圧線の通っている鉄塔のある所を川鳥城という。[p5]


川鳥城

 川鳥と書いて、カットリと呼んでいる。

この川鳥城と上田城の城山との両方から矢を射て弓勢をきそってみた。その矢の落ちた所を矢先といい、小野神社の北のあたりをいう。しかしかなり強い弓でもここにとどくのは無理だ。[p5]


川鳥城一、〇八〇米。この山城は駅より西北、両小野中学校の背後の山頂にある。ここに高圧線の鉄塔が立っている。二十分もかければ登るに容易と考えたが、尾根近くになると急になり、尾根道に出てやっとたどりついた。山頂は鉄塔の下になったために半分ほど荒らされてしまったが、大体、四—五間位のほぼ円形で、まわりに土塁のあとが残り、西の尾根には堀切りのあとが明瞭であった。

 この西の尾根道は霧訪山(きりとう)に通ずる。「信府統記」によれば、この川鳥城は十間に十四間とあるが、頂上はその半分位の広さであった。東の下の段にそれらしい平地があるから、それをさして言ったのかも知れない。川鳥城は、山城であり、狼煙(のろし)台であり、見張台で、山城には頂上の下に小屋がけをした所がある筈だ。[p7]


関連項目:たのめの里小野神社・矢彦神社合地の宮・合図の宮上田城・畑ヶ中川鳥城草野の古城小野の東山道